夜をやり過ごす時間
深夜。
この街を脱走したくなりませんか?
目的地はどこでもいいんですが、
例えばファミリーレストランでいいんですが、何からの脱走か分からないんですが、
まぁまぁ仲のいい友達を途中で誘ってですね。互いに本とか持っていったりして(もちろん読みかけの漫画でもいいんですよ。僕はめぞん一刻です)
車の中ではラジオが流れているような。
天気概況が流れているような(明日も暑いらしいねぇ〜だりいねぇ〜とかコメントもありつつ)
会話もまぁ、そこそこに。
お腹空いてる?まぁそこそこに。
あ、コンビニ寄っていい?とか聞かれたりとか
そういう、時間。
脱走だなんて言っても、隣の市ですし
ファミリーレストランに行っても、きっと話すことないですし、
きっと救われないだらうし、
救われたいのかもわかりません。
ただ、ちょっとこの時間をやり過ごすのに、
窓から見える風景を変えたかっただけです。
ただ、ちょっと自分の中で喋る声が大きすぎるから、誰かの喋り声が聞きたかっただけです。
ただ、夜、今起きているのがひとりではないことを知りたかっただけです。
と言ってみたけれど、どれも違うかもしれません。
夜をやり過ごす時間
僕は、そんな古本屋になりたいな。
という曖昧な答えのようなもので締めてみる。
ここまで書いて、
今夜も僕は夜に古本屋を開けています。