風呂屋

どうせなら

風呂屋に一緒に行ける人がいい

 


それも

古い、崩れかかったような風呂屋がいい

 


閉まった商店街を歩いて

横にそれたところにある、一軒の風呂屋

 


シャンプーは僕のをあげるから

と、僕は僕で番台で新しいのを買った

 


お湯は思ったよりも熱かった

これではのぼせてしまうのではと

壁の向こうが心配になった

 


脱衣場で涼んでおると

向こうから声が聞こえる

老婆の声と僕の知った声

若いねえといえいえそんなと

 


表に出て、話していたねと言うと

いつもあそこに座って縫物をしているんだって、と。

乾かしきらない髪で並んで帰った